睡眠障害・不眠症の原因や症状、治し方・治療法まとめ
不眠・睡眠不足が続くと、日中の活動に支障をきたすだけでなく、うつ病や動脈硬化、糖尿病などの発症リスクが高まります。さまざまな心身の不調につながる「睡眠障害」について、症状や原因を整理し、引き起こされる病気のリスクや改善するための治療法・治し方を紹介します。
特集インデックス
理想の睡眠時間とは? 不眠症と自分でできる改善法 寝つきの悪さと解消法 高齢者の不眠 特徴と対策 睡眠薬による不眠症の治療 睡眠と関係のあるその他の病気理想の睡眠時間とは?
適切な睡眠時間については、いろいろな研究結果から、6~8時間が目安といわれています。しかし、一人一人の体質や生活内容で大きく異なるため、自然に眠れて、日中眠くて困ることがない程度の時間を目安にするのがよいでしょう。
「最低でも8時間は眠らないといけない」と、眠る時間を気にしすぎると、かえってそのプレッシャーから眠れなくなってしまう場合があります。
また、高齢になるにつれて、睡眠時間が短くなるのに、寝床に入っている時間は長くなることが明らかにされています。"長い間布団に入っていても眠れない"と悩むことも不眠につながるので、睡眠不足の解消には、自然に眠くなる時間に寝床に入るなどして、その差を埋めることが大切です。
不眠症と自分でできる改善法
■不眠症とは
一時的な不眠は、健康な人にも起こります。
たとえば、心配事などがあるときに、「夜、布団に入っても寝つけない」、「途中で目覚める」、「目覚めが早すぎて二度寝ができない」といった状態になるものです。
そうした原因がはっきりしている不眠は、通常、数日から2週間ぐらいで元に戻ります。
ところが、不眠が長引くと、日中にも眠気やけん怠感などの心身の不調が現れ、仕事や家事に支障が出るようになります。
このような慢性化した不眠が3か月以上続くと、不眠症と診断されます。
■自分でできる不眠症改善「認知行動療法」
いったん慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。治療には薬を使う場合もありますが、睡眠習慣を改善する治療法として、認知行動療法があります。
認知行動療法とは、眠りに対する思い込みや強迫観念を正し、一人一人にあった睡眠習慣を見つけていく方法です。
ここでは自分でできる3つの方法を紹介します。
➀寝床にしがみつかない
不眠症で苦しんでいる人は、眠ることにとらわれ、寝床は苦しい場所だと無意識に思っているため、緊張感でますます眠れなくなってきます。
眠くなるまで寝床に入らない 眠れないままに寝床で過ごさないの2つを実行し、"寝床は眠れる場所"だということを体に条件づけます。
➁睡眠効率アップ
睡眠効率とは、寝床にいた時間に対する実際に眠った時間の割合(実際に眠っていた時間÷寝床にいた時間)です。不眠症の人は、寝床にいても眠っていない時間が長く、睡眠効率が低い傾向にあるので、最終的には85~90%に上げていくことを目指します。
自分の睡眠効率を知るには、睡眠日誌が役立ちます。
➂リラックス
寝る前や夜中に目覚めたときに、簡単な体操を行う筋弛緩法を実行しましょう。単に筋肉をほぐすだけでなく、副交感神経の働きでリラックスしたり、脈拍が遅くなったりなど、全身に影響を与えることができます。
寝つきの悪さと解消法
不眠の症状の中で、働き盛りの世代に多いのが、「寝つきの悪さ」です。
寝つきが悪いと、昼間の集中力がなくなって仕事がはかどらないために帰宅が遅くなり、さらに寝つきが悪くなるという悪循環に陥ることも少なくありません。
しかし、寝つきの悪さは生活習慣を見直すことで解消・改善することができます。
【寝つきの悪さを解消する生活 4か条】
朝は、太陽の光で「体内時計」を整える 日中は活動的に 夜はリラックスする「移行期」が必要 休日も朝はいったん起きて 昼寝を活用高齢者の不眠 特徴と対策
高齢者の睡眠には、眠りが短くなったり、浅くなったりする特徴があります。
若い人では、眠り始めの3時間ぐらいで深い睡眠が何度も訪れ、後半になると浅い睡眠が中心になります。ところが、高齢者の場合は健康な人であっても、深いレベルの眠りが少なく、途中で目覚める回数が増えます。
こういった症状は、白髪や老眼と同じように、自然な加齢変化といわれているので、日中も元気で過ごすことができれば心配ありません。
ただし、日中の体調不良が3か月以上続くようであれば、不眠症の治療が必要になります。
対策としては、
朝の光を避ける 睡眠にメリハリをつける 眠くなるまで寝床に入らないといったことが挙げられます。